私と今日の世界 真沙美

MASAMI Twitter➡︎ @eyesmasami アメブロ➡︎ https://ameblo.jp/zarathu0310 大滝詠一さんと松田聖子さん・関取花さん・GLIM SPANKYが好きです。よろしくお願いいたします。

日本語の新聞が英字新聞 ⁉︎

『The Japan Times』は、1897年(明治30年)に創刊された、日本において、英語で書かれた最大規模かつ最も歴史のある日本の日刊紙です[注]。

  日本人は、本紙のほか、『The Japan News』(読売新聞社)などの、英語で書かれた日本発行の新聞を「英字新聞」と呼んでいます。外国が発刊する「英語で書かれた」新聞、『The Washington Post』(アメリカ合州国)や『The Guardian』(英国)なども「英字新聞」と呼称される例が散見されるでしょう。


【日本語の新聞が英字新聞 ⁉︎】

「英字新聞」の「英字」とは「ローマ字」のことですから、「英字新聞」は「ローマ字新聞」ということにもなります。

  イタリア語の新聞はローマ字で記載されていますし、フランスでもそうです。日本人の語法の論理になぞらえれば、両紙とも「ローマ字新聞」であり、「英」ではないのに「英字新聞」になります。

  また、おなじように、日本語の新聞の記事がローマ字で、たとえば「naze kono nikki wo rômazi de kakukoto ni sitaka? naze da?」(なぜこの日記をローマ字で書くことにしたか? なぜだ?)と書いてあっても、日本語であるにもかかわらず、「日本語新聞」ではなく、「日本字新聞」(「邦字新聞」)ですらなく、「ローマ字新聞」・「英字新聞」ということになります。

「字」に「語」の意味はまったくありません。

  実に奇妙なことです。
  (*´꒳`*)♡

  どうしてこうなってしまうのかと言いますと、「英字新聞」という「語法」が誤用だからです。

 

  誤用め! 御用だ! 御用だ!
  ε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘

 

「英字新聞」ではなく「英語新聞」と“定義”する必要があります。新聞に用いられている言語によって、「何々新聞」であると呼ぶ、ということです。

  そうしませんと、たとえばカナダには英語圏のほかにケベック州のようなフランス語圏があり、そこでは仏語の新聞が販売されていますから、「カナダの『英字新聞』」としてしまっては、それがフランス語の新聞なのかどうかが判然としないからであります。

  中国語の新聞を「華字新聞」と呼ぶ例についても「中国語新聞」になるでしょう。「邦字新聞」は「日本語新聞」です。


【文字を持たない民族も対象に】

  また、パキスタンの言葉はウルドゥー語であり、国字はアラビア文字を採用していますが、ほかにもサウジアラビアやイランなどがアラビア文字を使用しています。

  サウジアラビアアラビア語、イランはペルシア語なので、「英字新聞」にならって「アラビア字新聞」と言いますと、その新聞が何語で書いてあるのか、ウルドゥー語なのかアラビア語なのかペルシア語なのかがわからなくなってしまうでしょう。

  こういう混乱を避けるために、一般性のある「アラビア文字」ではなく、「英字」すなわち「英語」というような発想のもと、特定できる言葉、かりにパキスタンウルドゥー語を使って「ウルドゥー字新聞」と言おうとしましても、ウルドゥー語にはこれをあらわす専門の文字がありませんので、「ウルドゥー字新聞」は成り立ちません。

  日本で通用している「字」=「語」というような概念は、パキスタンには持ちこめないのです。その語釈は、文字を持たない諸民族のことを斟酌(考慮)していません。しかし、「新聞に用いられている言語によって、『何々新聞』であると呼ぶ」という単純な原則を使って「ウルドゥー語新聞」もしくは「パキスタン語新聞」とすれば簡単に解決します。

  それゆえ、『The Japan Times』は、「英字新聞」ではサラサラなく「英語新聞」なのであります。

 

[注]

『The Japan Times』は、いわゆるリベラル寄りの紙面でしたが、売り上げや広告が低迷する中、経営者側によって編集方針を変えました。この結果、「安倍首相との単独会見が実現し、『政府系の広告はドカッと増え』」たそうです。詳しくは、下記の記事を御参照ください。

jp.reuters.com