「北朝鮮」を廃止にしよう!
【「北」はどこに?】
朝鮮(韓)半島にある朝鮮民主主義人民共和国は、日本では「北朝鮮」と呼ばれていますが、国名には「北」という文字がどこにもありません。
しかしそう呼ばれますのは、 「大韓民国」と「北朝鮮」とのふたつの国が朝鮮半島のうえに“載っている”からです。
「朝鮮」半島の「北」部に朝鮮民主主義人民共和国があるので「北朝鮮」。これとおなじ発想にもとづくなら、「韓国」は「南朝鮮」になります。
「朝鮮」半島という枠で見て、「朝鮮民主主義人民共和国」を「北朝鮮」と言うなら、「韓国」を「南朝鮮」と言うのが論理的です。
「朝鮮半島」ゆえの「朝鮮」を基礎にするのか?
「大韓帝国」の流れの「韓国」を元にするのか?
後者なら、朝鮮民主主義人民共和国は「北韓国」、大韓民国は「南韓国」になりますが、いずれにしましても、「北」とか「南」とかを使うのであれば、「朝鮮」あるいは「韓国」のどちらかを基準にして南北を言いませんと、非論理になってしまいます。
「朝鮮」を元にしてその「北」部にあるから「『北』朝鮮」と呼んでいますのに、大韓民国」につきましては、どうして「『南』朝鮮」ではなく「韓国」と呼んでいるのでしょうか?
【誤用が起きない「Korea」】
英語では「朝鮮民主主義人民共和国」は「Democratic People's Republic of Korea」、「大韓民国」は「Republic of Korea」です。
スポーツの国際大会などでの略称では、前者が「North Korea」、後者が「South Korea」を使うことがあります。「Korea」には「朝鮮・韓国」両方の意味がありますので、英語では、日本のような例は起きません。
【国名の単なる略称を】
英語圏とはちがって、日本では、「北朝鮮」に対応するなら「南朝鮮」と呼ぶべきところを「韓国」と呼ぶことによって論理が破綻しています。「韓国」という略称は「大韓民国」をただたんに略したものですから、これにならえば「朝鮮民主主義人民共和国」は「朝鮮」でしょう。
要するに、朝鮮民主主義人民共和国には朝鮮半島の南北を基準にした呼び名を採用しているにもかかわらず、大韓民国には国名の略称を使っている、という二重基準が非論理の原因なのであります。
韓国人が、国名が「大韓民国」なのに、国際試合などで「South Korea」を採用する例がありますのは、「南」と「北」はひとつの民族、という意識があるからでしょう。
ユダヤ教徒が多いイスラエル人が、国名を使ってイスラエル人と自称したり、ユダヤと名乗ったりするのと似ています。
なお、朝鮮民主主義人民共和国の略称として「共和国」を“推挙”する人がたまにいますが、英語では韓国も「共和国」ですし、スロバキア共和国のように、「共和国」はほかにもあるので却下。
現状では、「北朝鮮」という通称が通用しているからと言って、その論理にしたがって、国名に「朝鮮」がない「韓国」を「南朝鮮」と呼ぶことには無理があります。
それにまた、「南朝鮮」の略称「南鮮」は、戦前・戦中の日本が使っていた蔑称である、という指摘がありますから、この点でも不採用です。現代の日本でも韓国を「南鮮」とわざと呼んで、さげすんで悦に入っている人がいるのはそれが理由です。
以上のことを考慮しますと、英語(圏)では「South Korea」・「North Korea」を使うことがありますけれど、日本では、朝鮮半島の「南」か「北」かで呼称を決めることには難があると言えるでしょう。
やはり普通に、国名の略称に使っている基準、国名の単なる略称を適用するのが一番です。
朝鮮民主主義人民共和国は、「北朝鮮」ではなく「朝鮮」。
サッカーなどの国際試合でも「日本 vs 北朝鮮」ではなく「日本 vs 朝鮮」とあらわします。ニュースなどでも「朝鮮」です。
こうやってあらためましても、なんら不都合なことはなく、むしろ論理的になるのですから、「北朝鮮」を廃止することにしましょう。