私と今日の世界 真沙美

MASAMI Twitter➡︎ @eyesmasami アメブロ➡︎ https://ameblo.jp/zarathu0310 大滝詠一さんと松田聖子さん・関取花さん・GLIM SPANKYが好きです。よろしくお願いいたします。

『毎日新聞』紙面審査委員の山田道子さんと『月刊Hanada』

【その言やよし】

‪『毎日新聞』紙面審査委員の山田道子さんが、「メディア 売るために『差別』は間違い」と題して、『週刊ポスト』[注]のいわゆる「ヘイト」についてこういうことを書いています。ーー

 

‪「週刊ポストも売り上げを伸ばそうとして『韓国なんて要いらない』という特集を組んだのでしょう。‬

  ‪でも、責任ある出版社は韓国に対する差別や嫌悪感を増大させるのではなく、対立を埋めるほうに向かってほしいと思います。みなさんも国同士がケンカしているからといって、 自分たちも韓国人とケンカしていい、ケンカしようなんて決して考えないでください」(『毎日小学生新聞』2019年9月14日号)。‬

 

〈果たして「ケンカ」なのか?〉。そうは思いますものの、言わんとすることはわかります。

  御高説、ごもっともです。‬

  (๑・̑◡・̑๑)

【「ヘイト」が踊る『毎日新聞』】

‪  この「ごもっとも」が『小学生』に掲載された前日13日の『毎日新聞』朝刊には『月刊Hanada』10月号の広告が掲載されており、次の見出しが躍っています。‬ーー

 

  ‪・韓国という病‬
  ‪・反日で韓国は滅びます‬
‪  ・韓国はもはや友好国ではない‬
  ‪・不買運動で困るのは韓国だけ‬

 

‪『週刊ポスト』とおなじたぐいの見出しです。

 

【広告を「売るために『差別』は間違い」】

  ‪新聞広告は《株式会社毎日新聞社》の広告審査を通って掲載されているわけですから、《毎日新聞社》は、『月刊Hanada』のこの広告を問題なしとして許容しているのだと考えざるをえません。

  つまり、《毎日新聞社》「も売り上げを伸ばそうとして」広告代ほしさにそんな「ヘイト」に許可を出して「紙面」を提供し、「ヘイト」を広めているわけです。「広告」と「誌面」のちがいがあるとは言え、『週刊ポスト』とおなじことをやっていると言えるでしょう。

【隗より始めよ】

  山田さんの冒頭の文の「出版社」を「新聞社」にすれば、その批判の矛先は、山田さんが所属する《毎日新聞社》、そしてそこに所属する山田さん本人にそっくり返ってきます。ーー

「責任ある」新聞社「は韓国に対する差別や嫌悪感を増大させるのではなく、対立を埋めるほうに向かってほしいと思います」。

  しかしながら、「ヘイト」をやった他誌を批判した山田さんは、みずからが所属する会社が是認している「ヘイト」広告については、今のところ「審査」をまったくしていないようです。‬新聞社の「紙面」づくりとは、広告をふくめたものでしょう。そうではないならば、どんな「広告」でもいいことになります。新聞社の「広告審査」はいりません。

「売るために『差別』」的な誌面づくりをした『週刊ポスト』を批判して、「小学生」に「韓国人とケンカしていい、ケンカしようなんて決して考えないでください」と訴えておきながら、自分の足元の、「広告」を「売るため」の「ヘイト」広告認可や宣伝には知らぬ存ぜぬ言わぬの整合性なき姿勢。

  このような、新聞社社員の自分や自社を度外視しておきながら、他者を批判・非難するよくある無責任な二重基準も「ヘイト」をはびこらせる要因になっているのではないでしょうか。また、いわゆるリベラルが、良いことを言っているはずなのに毛嫌いされる理由のひとつでもあるでしょう。

 

【貧すれば鈍するのか】

週刊ポスト』の発行元である《株式会社小学館》発行の『SAPIO』は長年「ヘイト」をやりつづけている雑誌です。次の見出しを見れば、どういう雑誌かは容易に想像がつくでしょう。ーー

 

  ・中国が日本でしている卑劣なこと

  ・北朝鮮と韓国はグルである

  ・外交官の私を誘ってきた中国美人スパイ(以上は2017年11・12月号)

  ・中韓に乗っ取られた日本領土(2018年1・2月号)

 

「女性蔑視」も特徴であり、次のような見出しも表紙に踊っています。古谷経衡という評論家が活躍しているようです。ーー

 

  ・咲いては散る「女性政治家の通信簿」古谷経衡(2017年11・12月号) 

  ・なぜ女性政治家はアホなのか 舛添要一 × 古谷経衡(2018年1・2月号)

 

SAPIO』は、創刊当初は隔週刊だったものの、部数が減ってきたため今では不定期刊行になっています。しかし廃刊にはしていません。そういう雑誌を「廃刊」にしない体質が《小学館》にはあるからです。

  そしてその「体質」が、『SAPIO』よりも有名な『週刊ポスト』に如実にあらわれたのは、山田さんも言っているように、最近の世相をかんがみて、「売り上げを伸ばそうとし」たからでしょう。

  日本三大紙の一紙である『毎日新聞』は部数の下落がつづき、振りむけば『日本経済新聞』という現状になっているそうです。最近では社員の首斬り馘首を断行しています。部数が低迷しているからにはオカネになる「ヘイト」広告も必要なのでしょうか。「責任ある」はずの新聞社が「ヘイト」広告を掲載して、「ヘイト」を撒き散らしていいのですか。そういう広告を韓国人や中国人・朝鮮人が見たら、どう感じると思いますか。

《株式会社毎日新聞社》様におかれましては、「広告代」がほしい「からといって」、「自分たちも韓国人とケンカしていい、ケンカしようなんて決して考えないでください」。

 

[注]

週刊ポスト』2019年9月13日号。

 

[追記]

  『毎日新聞』(2019年9月26日)掲載の広告です。ーー

f:id:zarazeit:20190926204958j:image

  写真は、辰巳孝太郎さんのTwitter・2019年9月26日から引用。