私と今日の世界 真沙美

MASAMI Twitter➡︎ @eyesmasami アメブロ➡︎ https://ameblo.jp/zarathu0310 大滝詠一さんと松田聖子さん・関取花さん・GLIM SPANKYが好きです。よろしくお願いいたします。

カネか夢かの二択だけなのか 批評家の杉田俊介さんの逡巡をめぐって

【葛藤してその先は?】

  批評家の杉田俊介さんが、『週刊ポスト』(以下『ポスト』)の「断韓」の件について、こういうことを言っています。ーー

「『生活のためだから仕方ない』という論理の自己絶対化は極めて危険だと自分は考えるが、そう考えることと、組織の腐敗にその組織の内部から抵抗し葛藤する人間を外側から応援することは、けっして矛盾しない」(2019年9月2日のTwitter)。

小学館》には「素晴らしい記事がある」し、「担当編集者さんもまっとうで信頼できる人」だとも同日のTwitterで言っておりますが、この言い分と、ナチスにはいいところがあったし、「信頼できるナチス党員」もいた、という「弁護」にちがいはあるでしょうか?

 

【「中のいい人」は幻か】

  出版社に問題が起きると、かならず出てくる言葉が、“会社の中にはいい人がいる”、というたぐいの「弁護」です。‬

  しかし、その「中のいい人」は、哀しいことに、出版社を動かせる可能性のないほんの一部なのではありませんか。

  ある小説家Aさんは、御自分の数々の体験から、「信頼できる編集者」すら否定しており、“「中のいい人」なんて嗤わせるな”、というようなことを言っております。

  また、『ポスト』の批判を書くことに関しては、「実に馬鹿げた話だ。そんなの誰も怖がらないし懲りもしないよ」と指摘しています。

  一部の小説家などの物書きが言っていること、『ポスト』に『ポスト』批判を書くことにしたところで、「出版社はペンなんか全然怖くない」(小説家Aさん)のですから、「『ポスト』に『ポスト』批判」は、“自己批判”をしているというポーズを出版社にわざわざあたえてやる免罪符行動で終わると思います。

  では、何が打撃になるかと言いますと、小説家Aさんが言っていますように、「ヘイト番組」には、「スポンサーの電話回線がパンクするまで」の直電攻勢が、「ヘイト出版」には「不買運動が一番効く」でしょう。

小学館》に「中のいい人」がいるなら、匿名でもいいので、出てきていただいて、「出版社の良心」を見せてほしいものです。

 

【ヘイト雑誌への批評眼は?】

小学館》は、今回の『ポスト』のようなことよりももっと“過激”なことを同社発行の『SAPIO』で長年やってきています。

  中国や韓国などの隣国との対立や差別をあおってきました。

  今回の件で杉田さんは悩んでいますが、今までその「批評」眼は『SAPIO』にはずっとむいていなかったのでしょうか。

 

【オカネのために堕落】
「経済基盤」があったり、「売れっ子」であったりすれば、カッコよくスパッと執筆拒否をしてサヨウナラができます。

  しかし、そうでなければ、今や「ヘイト出版社」の面があると「やっと」公認された株式会社と付きあっていかなければなりませんから、「悩み」が生じるでしょう。

  そもそも小説家などの文筆業者が堕落しやすいのは、副業を持っていないことが原因のひとつだとわたしは思っています(文筆業が「副業」でももちろん可)。

  専業としてやって行きたいがために、つまりはオカネのために、いろいろと妥協をしてしまうんですよね。

 

【オカネも夢もの視点】
「金か夢かわからない暮らしさ」(尾崎豊)。

「金か夢か」の二択のほかに、「金も夢も」の選択肢もあるはずです。この視点を見失ってはいないでしょうか?

  もしも「金」であれば、「生活のため」に自分を騙し騙ししながら、売文の徒として生きていかざるをえないでしょう。

「批評家」を名乗って、その名のもとの著作がありながらも「売文の徒として生きていく」としたら、「批評家」なのですから、そういう御自分への「批評」を物するのもこれ一考かと思いますものの、もはやこれは自家撞着、真の「批評家」への名折れの所業にすぎません。


〔追伸〕

  お読みいただき、誠にありがとうございました。

  嬉しく感じております。

(^∇^)

 

【お知らせ その1】

  本拙文に関連する論考もあります。

週刊ポスト』の「韓国差別」に関して小説家の藤谷治さんは、『ポスト』に抗議する人達に批判の矛先をむけており、ある小説家が言うように『ポスト』を「庇って」います。

  よろしければ、御高覧ください。

zarazeit.hatenablog.com

 

【お知らせ その2】
 本拙文に関連する論考がもうひとつあります。
  出版社の長年の差別体質を見て見ないふりをしてきた小説家などの姿勢や保身について書いてあります。
よろしければ、こちらも御高覧ください。

zarazeit.hatenablog.com