私と今日の世界 真沙美

MASAMI Twitter➡︎ @eyesmasami アメブロ➡︎ https://ameblo.jp/zarathu0310 大滝詠一さんと松田聖子さん・関取花さん・GLIM SPANKYが好きです。よろしくお願いいたします。

『週刊ポスト』と反「断韓」の波

【確信的隣人差別】

‪『週刊ポスト』(以下『ポスト』)2019年9月13日号の表紙に次のような見出しが躍った。

 

‪「嫌韓」ではなく「断韓」だ‬
  ‪厄介な隣人にサヨウナラ‬
  ‪韓国なんて要らない‬
 ‪(韓国人の)「10人に1人は治療が必要」ー怒りを抑制できない「韓国人という病理」‬

 

【出版社の差別体質】

  この結果、発行元の《小学館》に批判が殺到、版元は「謝罪」した。

‪  わたしはこの表紙を見たとき、〈『SAPIO』だ〉と思い、〈《小学館》らしい〉とも思った。

‪「SAPIO」と「韓国」・「反日」などで検索すると、“おもしろい”表紙がいっぱい見れるが、『SAPIO』は、今回のような見出しよりもひどい、隣国との対立や差別をあおる表紙を長年やりつづけている《小学館》発行の雑誌である。今回の表紙にある「週刊ポスト」を「SAPIO」に変えれば、それはまさしく『SAPIO』だ。

‪《小学館》が、販売不振で不定期刊行にせざるをえなかった『SAPIO』をいまだに廃刊せずに継続にこだわっているのは、中国や韓国・朝鮮などの隣国との対立、隣国への差別扇動を是とする体質が《小学館》にあるからである。

『ポスト』「韓国なんて要らない」“記念号”は、そのような《小学館》の思想が、『SAPIO』のみならず『ポスト』にもおなじようにあらわれた現象であり、これは、時代の趨勢を物語る現象でもあるだろう。

 

【反「断韓」の波に乗る】

‪《小学館》の「言論の自由」の幅広さとか、《小学館》には良い編集者がいるとか、《小学館》全体のことではないとか、そういう言い訳や弁護は「要らない」。

  この『ポスト』“記念号”の表紙は、《小学館》と協力してきた文筆業者や小説家・漫画家などが、昔からあった《小学館》の体質をほったからしにしてきた結果のひとつでもある。

  以前から、あなたがたが、ちょっとしたことでもいいから、声をあげて行動をしてきていたとしたら、こういうことは起きていたであろうか。

‪  今回のことを怒っているあなたがたは、昔からあった『SAPIO』のことはどう思っていたのか。

  どうして、まるで「良心」をあらわす良い宣伝・機会と言わんばかりに、今回ばかりに、あなたがたは目立って怒って見せるのか。

  ‪それとも、知らなかったがゆえの今回の“無知の涙”であったのか。

 

【呼びかけとの整合性】

‪  小説家の藤谷治さんが「小学館」ではなくて「小学館の編集者」と「仕事」をするのだと言ったり、おなじく小説家の安達瑶さんが「真綿で首を締めるよう」に「やんわり批判」と言ったりしているが、そういう言い訳がましい自己弁護にきゅうきゅうとはせずに、《小学館》と仕事をしたければ、堂々とするがいい。

‪  しかし、「差別をなくそう」に類することを他人に主張したいのなら、「堂々と」はしていられなくなるであろう。

「差別をなくそう」と他人に呼びかけておきながら、「差別扇動」を旨とする出版社に自分は協力している、という行動様式にはまったく整合性がないからだ。

 

【出版社の顔を読む】

  ところで、今回の件で、小説家の深沢潮さんは、「『週刊ポスト』での連載」を「お休み」した。「やめる」とは言っていない。今後、《小学館》の「反省」ぶりを見て、“十分反省した”とのうまい口実をえて“目覚める”のか。「お休み」は、収入源である書く場を失う「執筆拒否」とはまるでちがう。

  小説家Aさんは、「ヘイトで稼ぐ気のない書き手は撤退すべき」とTwitterに書いているが、Aさんによると、ある出版社で“揉める”と、その出版社がほかの出版社での仕事を妨害して、仕事をさせなくすることがあるとのことである。

  ‪だから、深沢さんは、求められても追加の声明を出さずに(出せずに)おとなしくしているのかもしれない。

 

灰谷健次郎さんの版権引きあげ】

  1997年、『FOCUS』という雑誌が意図的に少年法に違反して、ある事件の少年容疑者の写真を同誌1997年7月9日号に掲載した。

  これに関して会見を開いた小説家の灰谷健次郎さんは、出版元の《新潮社》に抗議して執筆拒否を宣言、そのうえ《新潮社》から全著作の版権を引きあげた。

  おまんまの食いあげを気にしていては、良心や信念・思想にしたがって生きていくことはむずかしい。言論の徒であり、他者に主張する身でありながら、いろいろと言い訳を作って「生活」を優先させるならば、自分の心から目をそらし、後ろ暗い思いを抱きながら、売文の徒として虚しく生きていくことになるであろう。

 

[追伸]

  お読みいただき、誠にありがとうございました。

  とても嬉しく感じております。

(^∇^)

 

【お知らせ その1】

  本拙文に関連した論考があります。
  批評家の杉田俊介さんは、生活のために「批評家」とはいえないはずの選択をして「売文」の徒として生きるのか?
週刊ポスト』の件での杉田さんの言動を考えました。
  よろしければ、御高覧ください。

zarazeit.hatenablog.com

 

【お知らせ その2】

  本拙文に関連する論考がもうひとつあります。

  小説家の藤谷治さんは、『週刊ポスト』の「韓国差別扇動」に関して、『ポスト』に抗議する人たちへ批判の矛先をむけており、ある小説家が言うように『ポスト』を「庇って」います。このことについて言及しました。

  よろしければ、こちらも御高覧ください。

zarazeit.hatenablog.com